「      」


 ある人は"甘い"と言い、
 ある人は"苦い"と言う。

 ある人は"楽しい"と言い、
 ある人は"苦しい"と言う。

 時折、"優しい"と耳にする事もあれば、
 時折、"切ない"と耳にする事も、ある。

 また、"愛おしい"声で囁く人もいれば、
 また、"狂おしい"声で嘆く人も、いる。


 一体、どれが正解なのだろうか。
 一体、どれが誤解なのだろうか。
 それとも。
 最初から、解りやすい答え、など存在していないのだろうか?

 もしくは。
 星の数ほど、数多も。
 人の数ほど、幾多も。
 付随するであろう条件も含めれば、無限に存在しているのだろうか?

 分からない。
 わからない。
 本当に――わからないことだらけ。

 自分が考えていることのはずなのに。
 自分が思っていることのはずなのに。

 そういった感情の真相も真理も。
 ありとあらゆる何もかも。
 自身では知る事のできない深層心理の奥底にあるようだった。

 自分が――他の誰でもない"自分"が想っていることのはずなのに。

 何も。
 何一つさえも――わからなかった。



 にもかかわらず、私は。

「……お、おはよう」
「       」

 彼の――私が唯一、そんな気持ちを抱く"ひと"の前に立ち。

「えっと……今日って何の日か知って、る?」
「  」

 遠回りなようで、大胆な言葉を。
 自分では気づいていない大胆な言の葉で、遠回りに彼の反応を窺った後。

「だから、ってわけじゃないけど……」
「        」
「えと、その……こ、これ」

 傍から見れば、隠蔽にもならない表情で。
 おそるおそる、でありながらも、妙に勢いをつけて――

 ――"それ"を差し出した。

「    」

 彼は今、どんな顔をしているのだろうか?
 驚いてる?
 喜んでる?

 それとも――同じ顔、してる?


 知りたい、と思った。
 もっと知りたい、と。
 とても知りたい、と。

 そう思った――ものの。

 それは酷く勇気のいるコトで。
 私にはその"勇気"がなかった。

 だから、顔を上げる事はできなかった。
 確かに、できなかった――のだけれど。

「     」

 どうやら。
 気配と感触から察するに。

「           」

 チョコをあげることには成功した――ようだった。



※後書き?
 えっと、ですね。。。
 実験要素満載で、申し訳ございません(汗)



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