「ヤヨイの占い」


『大吉』
「ヤヨイちゃんの、レッツ占いのコーナーです!」
「うんうん、練習よりずっといいわよー」
「ほ、ほんとですか……?」
「うん、だからもう一回」
「え゛」
「冗談だってば」

「というわけで、早速あそこの路地裏を掘り返してみます」
「……っしょっと……キメラの翼が出たので大吉です!」


『今日は自分の心と同じでとってもいいお天気です。
 なので、何処かへふらりと旅立ってみると、素敵な出会いがありそうですよ。
 ラッキーアイテムは、旅の必需品、キメラの翼ですね』


「どうした、リノ?」
「いや、トラッドが飛ばないのかと思って」
「え?」
「こういう時っていつも――――」
「はい、トラッド」
「え? え?」

 トラッドはキメラの翼を(ナギサに無理やり)放り投げさせられた!

「いやだぁぁぁぁぁぁ…………」

『中吉』
「えっと……占いです」
「ヤヨイちゃん、声が小さい!」
「ははは、はい! う、占いですっ!!」
(……また妙な事を吹き込まれたな)

「というわけで、ちょっとこの辺りを掘り返してみます」

「うんしょうんしょ……えっと、薬草が出たので中吉です」

『今日は財布の紐が緩くなって、ついつい道具屋で色々買い込んじゃいそうですが、
 その分、身近な人からお小遣いがもらえるので、問題ありません。
 ラッキーアイテムは、備えあれば憂いなしという事で、薬草の詰め合わせセットですね』


「らしいわよ」
「らしいな」
「というわけで、お小遣いあげたら?」
「へ?」

 じー……

(…………見られてる)

「……えっと、これ少ないけど」
「師匠、ありがとうございます!」

(ふふふ……何割貰おうかしらねぇ……)

『吉』
「ナギサさん……本当にやるんですか?」
「もちろん。この日の為に長い間、2人で特訓したんじゃない!」
「……30分って長いんですか?」
「長さでは測れない想いがあるからいいのよ」
「……というわけで、占いです」
(諦めたな・・・)

「早速この砂漠を掘り返してみます!」

「よいしょ……っと……あ、聖水が出たので吉です」

『えっとですね、水にとっても縁があります。雨上がりとか水たまりを見てみると、
 虹が見えたりして、とっても綺麗なんです! 幸せな気持ちになれると思いますよ。
 ラッキーアイテムは聖水。雨が降らない時は、これで水たまりを作ってみてはいかがでしょうか?』


「…………」
「トラッド、どうかしたのか?」
「……いや、何でもない」
「…………複雑な顔してるけど」

(占いって言うより……まぁ、いいか)

『凶』
「ところで、ナギサさん」
「なあに?」
「どうして占いなんですか?」
「……大人になったわね」
「えっ? えっ?」
「まぁ、続けてれば分かるわよ」
「そ、そうですか……?」
(……何も考えてなかったな)
「えっと……じゃあ、今日も占いですっ!」

「今回は趣向を変えて、石畳を剥がして掘り返してみます」
「へ?」

「んー……っしょ! っと…………何も出なかったので凶です」

『今日は上を見ても下を見ても、何も面白い事は無さそうです。
 しかも、注文したパンが焦げてて、身体に悪そうな気がします。
 ラッキーアイテムはラックの種。カリッと食べて、何とか凌いで下さいね』


「運の良し悪しって、どうにかなるのか?」
「リノ……どうして俺に聞くんだ?」
「え……何となく知ってそうだから」
「…………」
「トラッド?」
(俺って……そんなに不幸に見えるのか?)
「トラッド……?」
(しかも、それをどうにかしてるように見えるのか?)
「えっ!?」

 トラッドは何処かへ走り去っていった!

「……青春ねぇ」

『大凶』
「でね……ここに私がある物を埋めてるから」
「はい」
「それを掘り出して………………って言うの」
「でも、それってインチ――――もがっ!?」
「はい、じゃあ本番ねー」
「え!? わわわ……う、占いですよ!」
(……また何か企んでるな)

「とととと、とりあえずここを掘り返し…………あ」
「何が出たの?」
「……ハ、ハリセンが出たので……大凶です……」

『今日は……もう大変です。いきなり犬に噛まれたり、何も無い所で転んだり。
 しかも女性の人に声をかけてもかけなくても、殴られそうな予感がします。
 ラッキーアイテムはハリセ――――師匠、ごめんなさい!』


「何が?」
「スキあり!」
「ま、待――――!?」

 すぱぁぁん! ………………会心の一撃!

「うんうん、ヤヨイちゃんの占いってよく当たるわねー」
(ナギサ…………今のはあんまりだと思う)
「というわけで、もう一撃!」

 ハリセンの音は、山彦となって辺りに虚しく響き渡った。




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